posted: 2020/11/28
update: 2020/11/29
2020年11月25日、ルメール仏経済大臣はイタリア訪問の際、イタリアで宇宙分野も担当するフラカーロ内閣政務次官と会談し、両政府は欧州のロケットプログラムであるヴェガ、アリアンを全力でサポートしていくという共同宣言を発表した。
そこでは、特に11月16日に衛星打ち上げミッションに失敗したヴェガ・ロケットのより早い復帰のための支援が強調された。ヴェガ・ロケットは2つ前の2019年7月のフライトVV15で搭載衛星を軌道に投入することができなかった。
その後原因究明のための打上げ中断や、天候不良による延期などで、その次のVV16は2020年9月初旬に行われた。VV16では欧州が販路開拓で力を入れている小型宇宙機ミッション・サービス(SSMS)を用いた初フライトとなりヴェガはミッションに成功していた。
しかし2020年11月のVV17は再び衛星を軌道に投入することができなかったため、今後のミッション・スケジュールは再考されている状態である。
一方、アリアン・プログラムではスペースXやロングマーチなどの低価格ロケットに対抗するため、欧州宇宙機関はアリアン6プログラムを進めている。アリアン6の初フライトは2022年に予定されている。
そしてルメール仏経済大臣とフラカーロ伊内閣政務次官は、このような欧州ロケット事業が直面している課題、挑戦のため、欧州ロケット分野の主要国であるイタリア、ドイツ、フランスが参加する作業部会を発足させると話した。
イタリアでは、このロケット事業への支援宣言と同じ内容が宇宙航空政策の省際委員会でも繰り返す形で言われている。
フランスでは、同日(2020年11月25日)の閣議で、アリアン、ヴェガ、ソユーズの欧州ロケット事業とギアナ宇宙センター(CSG)に関して、現在の状況に即した支援に改訂していく法案を作ることで同意された。
法案には、産業側でヴェガを担当しているAvio社、アリアンを担当しているアリアングループ社の力を強めること、欧州政府機関側は欧州のロケットを優先して使っていくこと、などが盛り込まれるとのこと。
ソース:Avio(26/11/2020)、伊政府(25/11/2020)、仏政府(25/11/2020)
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:N20201128-02
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。