posted: 2020/11/03
update: 2020/11/03
1/ レゴリスから酸素
2020年10月27日、エアバスDS社は月の砂塵レゴリスを模したものから酸素を生成する実証実験に成功したと発表した。ドイツ・フリードリヒスハーフェンのエアバスDS社は生産技術・応用マテリアル研究所(IFAM:ドレスデン)、ボストン大学、アベンゴア・イノバシオン社(セルヴィア)と協力して2年間この研究に取り組んできた。
エアバスDS社によると、2020年9月、IFAMの施設で行われていた一連の試験の中で、エアバスDS社が開発したROKY (Regolith to OXYgen and Metals Conversion)プロセスによって月の砂塵レゴリスを模したサンプルから酸素を抽出できたとのこと。
同社は、この新技術は実用化されれば有人宇宙探査での化学物資の利用を削減できる革新的なもので、今回の成功はその第一歩であったと書いている。
2/ ISS船外実験設備バルトロメオの契約
2020年10月29日、エアバスDS社(窓口アメリカ社)はアメリカのローンチスペース・テクノロジーズ・コーポレーション社(LTC)と国際宇宙ステーション(ISS)の欧州のコロンバス・モジュールに取り付けられたバルトロメオ曝露実験設備の利用における契約を結んだと発表した。
バルトロメオはエアバスDS社が欧州宇宙機関(ESA)、NASA、ISSナショナル・ラボラトリと協力して運用しているプラットフォームで、2020年4月、ISSに運ばれ設置された。
LTCはバルトロメオで2022年から12ヵ月軌道デブリ収集・宇宙機遮蔽実証ペイロード(Launchspace Orbital Debris Collection and Spacecraft Shielding Demonstration Payload)ミッションを行う予定。
3/ ESA地球観測TRUTHSの初期フェーズ受注
2020年11月3日、エアバス(担当エアバスUK:スティーブニッジ)は欧州宇宙機関(ESA)からESAの地球観測・地球ウォッチ・プログラム(Earth Observation Earth Watch programme)のTRUTHS衛星ミッションにおけるシステム・フィージビリティ・プレ開発(A/B1)の業務を受注したと発表した。
TRUTHSミッションははTraceable Radiometry Underpinning Terrestrial- and Helio- Studiesの略で、2019年11月のESA閣僚級理事会でイギリスが提案し、会議で承認されESAプログラムとなった。
ミッションの詳細はESAの「TRUTHS: a new potential ESA Earth Watch mission」http://www.esa.int/Applications/Observing_the_Earth/TRUTHS_a_new_potential_ESA_Earth_Watch_mission
(2020年5月29日付け:2020年11月3日取得)を参照願います。
ソース:エアバスDS社(27、29/10/2020、03/11/2020)、ESA(29/05/2020)
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:N20201103-01
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。