posted: 2020/09/08
update: 2020/09/09
2020年8月21日、フランスのスタートアップ企業Zephalto社が成層圏気球のプロトタイプとなるオディッセ8000(Odysée 8000)の初飛行を行った。
2016年に設立されたZephalto社が目指しているのは気球による成層圏クルーズ。2024年には旅行者2名〜6名を乗せて高度25kmの旅を提供したいと考えている。
オディッセ8000は再使用可能なエンベロープ(球皮:風船の部分)、高度コントロール部分そしてナセルでできており、高度12kmまで上昇することができる。Zephalto社が開発した特許技術は太陽エネルギーによって気体を圧縮したり膨張させたりして重量を変化させて高度をコントロールするものである。
開発は仏国立宇宙研究センター(CNES)をはじめ、航空分野の専門企業の協力を得て進められている。また同社は欧州宇宙機関のビジネス・インキュベーション・センター(ESA-BIC)の支援も受けた。
今回の初飛行では約4時間、創業者で航空エンジニアのファレ=ダスティエ氏が操縦士となり、仏エアロスタット連盟の会長がお客さんとなって、この2人を乗せて南仏の空を300km飛行した。高度は低く設定し1.5km程度の航路を飛行した。
今後も同社はプロトタイプ機による飛行試験を重ねて行く予定。また高度25kmのクルーズにはより大型で改良された気球セレスト号を開発し使用する計画である。
ソース:Zephalto社ホームページ、Techniques de l'ingénieur(02/09/2020)、他複数メディア
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:N°20180908-01
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。