posted: 2019/07/30
update: 2020/09/23
最近のエアバスグループ関連ニュースを3つ紹介する。
1/ 2019年7月22日、ワンウェブ社とエアバスのジョイント・ヴェンチャーのワンウェブ・サテライツ社はフロリダに量産型衛星工場をオープンしたと発表。従来のカスタムメイド方式の衛星製造でなく、ここでは大量生産することによりコストも製造期間も少なくすることができるようになるという。
ワンウェブ・サテライツ社はインターネット接続のための大型衛星システム構築を計画している。最初は衛星650機、その後1980機での運用を目指しており、同社は同工場により衛星システム構築の早期実現を期待している。
2/ 2019年7月25日、マドリッドのエアバスDS社は、欧州宇宙機関(ESA)の宇宙科学プログラム「コズミック・ヴィジョン」で大型(ラージ)ミッション1(L1)に選ばれている木星の月探査機JUICEの内部構造(構造・シールディング・熱コントロール:SSTS)の組み立てを終了したと発表した。今後この機器はランポルツハウゼン(独)、フリードリヒスハーフェン(Friedrichshafen:独)、トゥールーズ(仏)など各地のエアバス施設を回った後最終統合が行われる。
JUICEは木星のエウロパ、ガニメデ、カリストを探査すると当時に木星の大気なども調べることになっている。2022年に打上げが行われ、その後7年かけて木星エリアへの旅をする予定になっている。
3/ 2019年7月29日、アリアンスペース社は8月6日にアリアン5で打上げ予定(フライトVA249)のIntelsat 39 衛星(商業通信衛星)と欧州データ中継衛星システムのEDRS-C衛星はロケットへの最終統合段階にさしかかったと伝えている。EDRSは欧州宇宙機関とエアバスによる官民連携(PPP)プログラムで、レーザを用いてEU/ECのコペルニクス計画のセンチネル衛星など低軌道衛星と静止軌道上の衛星との間の通信を繋ぎ地上にデータを送信する通信システムである。
レーザーターミナルはTesat-Spacecom社とドイツ航空宇宙センター(DLR)の共同開発で、運用・サービスはエアバスが行なっている。EDRS-Cの衛星バスはOHBシステム社が提供している。
ソース:エアバスグループ(22、25/07/2019)、アリアンスペース(29/07/2019)、ESA他
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:N20190730-02
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。