posted: 2020/09/16
update: 2020/09/16
2020年9月15日、OHBシステム社(本社ブレーメン:ドイツ)は欧州宇宙機関(ESA)のヘラ(Hera)宇宙機のプライム・コントラクタの契約を受注した。契約金額は1億2940万ユーロ。
ヘラはESAとNASAが共同で進めている小惑星衝突・偏向調査プログラム (AIDA:Asteroid Impact & Deflection Assessment)の欧州側が担当する宇宙機である。AIDAは小惑星に衝突のショックを与え軌道を変更させ、その様子とその後の動きを調査しようというもので、ターゲットに選ばれたのは二重小惑星のディディモスとその相方のディディムーンである。
AIDAではまずNASA側が担当する二重小惑星軌道変更宇宙機ダート(DART:Double Asteroid Redirect Test、2021年7月打上げ予定)がディディムーンに衝突実験を行う。衝突実験は2022年9月の予定。その後欧州側のヘラが打上げられ(2024年10月予定)、2026年終わり頃から少なくとも6ヵ月間、衝突後の二重惑星システムを詳しくモニタリングする。
またヘラは衝突後の詳細なモニタリングだけでなく、宇宙機の自動航行技術や、ESAのCubeSatプログラムの第1弾の運用実証など複数の新技術の実証実験も行われる。
ESAのヘラ・プログラムには、プライム・コントラクタとなって宇宙機開発製造の指揮を執るOHBシステム社のドイツ、電力・推進サブシステム、宇宙塵、鉱物調査のためのCubeSatなどを担当するイタリア、ヘラの搭載コンピュータ、ソフトを担当するベルギーなど合わせて17のESA加盟国と準加盟国のラトビアが参加している。
参加国:ドイツ、イタリア、ベルギー、ルクセンブルグ、ポルトガル、ルーマニア、チェコ、スペイン、オーストリア、デンマーク、フランス、ハンガリー、オランダ、スイス、フィンランド、ポーランド、アイルランド、ラトビア。
ソース:ESA(15/09/2020)
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:N20200916-01
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。