posted: 2020/10/07
update: 2020/10/07
2020年9月29日、フランスのISAE SUPAERO(航空宇宙高等学院=スパエロ)のトゥールーズ・キャンパスに新イノヴェーション・センターInnovSpace(イノヴスペース)がオープンした。総面積800平米のInnovSpaceで学生や卒業生、研究者や教師らが共同作業の精神を持って革新的技術を学んでいく。
同センターの1階(日本式の1階、以下、階数表示は同じ日本式)の「試作スペース」では専門家の指導のもと機械工学、電子工学、3D印刷機などの機械が利用できる。「デジタル・ラブ」のスペースには自由に利用できるビデオ・スタジオ、VRコーナー、拡張現実(AR)コーナー、共有エンジニアリング・センターが作られている。
デジタル・ラブはCNESやアリアングループ社とオンラインで繋がることができ、ナノ衛星の開発や衛星追跡などを学ぶことができる。また1階にはイベントの際のショールームや会議室も備わっている。
2階は学生やスタートアップ企業が利用できるスペースがあり、現在、農業支援ドローンに取り組むDron'Aero社、神経人間工学のHinfact社、ナノ衛星用ロケットのBeyond Aerospace社、外骨格テラピーの研究をしている2020年の卒業生Amaury Ciuranaさんの4者が利用している。
一方、学生プロジェクトスペースは、宇宙デブリを捕獲するためのロボットアームのI-CARE、ソーラーパネルで発電・電力供給を行う3輪自転車のSolarboostプロジェクト、ハイドロポニックス温室のGreen House on Marsプロジェクト、フランスの歴史的ロケットの複製模型を作ろうというDiamant BP4プロジェクトを受け入れる予定。
これら施設を作るためISAE-SUPAERO財団は寄付金を募り、約1年で21万6000ユーロを集めた。大口は、元サフラングループ会長や、航空宇宙業界の著名なエンジニアらが中心となって行われた寄付金集め活動であった。
ソース:ISAE SUPAERO(17/09/2020)、Les Echos(05/10/2020)
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:N20201007-01
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。