posted: 2020/11/13
update: 2020/11/13
2020年11月12日、欧州宇宙機関(ESA)の科学プログラム委員会はESAコズミック・ヴィジョン・プログラムの中規模シリーズの4つめ(M4)で太陽系外惑星研究望遠鏡ミッションArielの開発にゴーサインを出した。
ESAのコズミック・ヴィジョンとは宇宙科学、宇宙探査を目的としたミッションを小型(Sシリーズ)、中規模(M)、大規模(L)に分類し進めているプログラムである。
ArielはAtmospheric Remote-sensing Infrared Exoplanet Large-surveyの略。日本語にすれば大気リモートセンシング赤外線太陽系外惑星大型サーベイミッションといったところか。良い和訳があったら、あるいはもう日本の宇宙コミュニティで利用されているものがあったらご指導願います。
Ariel宇宙望遠鏡ミッションは、およそ1000個の太陽系外惑星を観測し惑星の化学的性質とその環境との関係を調べようというものである。運用ポイントはラグランジュ2(L2)で、2029年にギアナ宇宙センター(CSG)からアリアン6で打ち上げられる計画となっている。
2018年にコズミック・ヴィジョンM4に選ばれ、これまで設計研究が行われてきた。今後は開発・製造のため、Arielミッションの企業・研究機関コンソシアムが作られ、作業が進められていく。
Arielミッションが具体的な開発段階に入ったことついてイギリス宇宙機関(UKSA)もプレスリリースで伝えている。実際ArielミッションはイギリスがESAプログラムのこのミッションに多く予算を拠出し、イギリス主導で行われているとのことで、そのプレスリリースにはイギリスの科学大臣の喜びの言葉も書かれている。
UKSAによると、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)、ラザフォード・アップルトン・ラボラトリー・スペース(RAL スペース)、UK天文技術センターの技術部、カーディフ大学、オックスフォード大学などがArielミッションの実現に取り組んでいるとのこと。
ソース:ESA(12/11/2020)、UKSA(13/11/2020)
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:N20201113-01
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。