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ESAの火星探査:エアバス、タレス、レオナルド、サンプル・リターンに関する契約受注

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2020年10月14日、エアバスDS社は欧州宇宙機関(ESA)から火星サンプル・リターン・プログラム(MSR)のための地球帰還オービタ(アース・リターン・オービタ:ERO)のプライム・コントラクタの役割を受注したと発表した。また同社はサンプル回収ローバ(サンプル・フェッチ・ローバ:SFR)も納入する。

MSRはNASAとESAの共同プログラムで、まずサンプル採取ローバ(パーセヴェランス:NASA担当)がサンプル採取→採取されたサンプルをSFRが回収→SFRは回収したサンプルを火星からの上昇機(MAV:NASA担当)に渡す→MAVは火星軌道上で待つEROにサンプルを渡す→EROはそれらを地球に持って帰る、という構造になっている。

EROのミッションは、打上げは2026年にアリアン6によって行われる計画である。開発・製造はエアバスのトゥールーズ(仏)の施設、ミッション分析はスティーブニッジ(英)で行われる。

EROの推進システムはアリアングループ社が提供するRIT-2Xイオンエンジンが用いられる。タレス・アレニア・スペース社(TAS)もEROプログラムにおいて重要な契約を請け負ったと発表している(後述)。EROのプライム・コントラクタ契約の受注額は4億9100万€とのこと。

サンプルを回収して火星上昇機MAVに引き継ぐSFRはエアバスDS UKが担当する。そのSFRのサンプルの受渡しで使われるサンプル受渡しアーム(STA)はイタリアのレオナルド社が担当する。レオナルド社はTASに33%を出資する会社で(残り67%はタレスグループ)、最近の探査分野では、例えばロスコスモスの月着陸機Luna-27の掘削ドリル・研究機器の開発納入を請け負っている。

同じく2020年10月14日、タレス・アレニア・スペース社(TAS)はEROプログラムにおいて、EROのプライム・コントラクタであるエアバスDS社からERO関連の業務の第1弾(フェーズB2の範囲)で1100万€の仕事を受注したと発表した。これからの契約を鑑みると全部で、約1億3000万ユーロの受注になる見込み。

TASが担当するのはEROミッションにおける地球・ERO・火星にある機器との通信、軌道投入技術、トリノ(伊)、トゥールーズの施設での組立・試験業務とのこと。




ソース:Airbus、TAS、Leonardo( 14/10/2020)、ESA(13/10/2020)

文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)

No:N20201014-02