posted: 2020/11/14
update: 2020/12/04
2020年11月13日、欧州宇宙機関(ESA)は欧州連合(EU)の地球観測プログラムのコペルニクスのため、タレス・アレニア・スペース社(TAS)イタリア、TASフランス、エアバスDS社スペインに3つのミッションにおける契約を発注した。
これらは現在ESAが考えているコペルニクスについて優先順位の高いセンチネル拡張ミッションの6つのうちの3つに関するものである。
センチネル拡張ミッションは、今のセンチネル衛星システムの能力を補完し、EUの優先政策の実現に貢献すると同時にセンチネルユーザの要望により応えていくことが狙いである。
また、これらミッションの発注によって、Covid-19パンデミックの影響を受けている欧州宇宙産業を支援しようという意図がある。
ただし、EU、ESAの間で予算投入の算段がまだついておらず、これらミッションを最後まで行うかどうかは2021年下半期に判断される予定とのこと。
ESAはセンチネル拡張ミッションの6つのうち2つは既に産業側に発注している。
1つは2020年7月にOHB社に発注したCO2モニタリング・ミッション(フラスペ ニュース2020年8月8日付け「OHB社、欧州宇宙機関(ESA)のCO2モニタリングミッション受注」https://www.france-space.com/news/ohbesaco2.html 参照)。
もう1つは2020年9月にエアバスDS社に発注したコペルニクス極圏氷雪トポグラフィー高度計CRISTAL衛星ミッション(フラスペ ニュース2020年9月23日付け「エアバスDS社とタレス・アレニア・スペース社のチーム、欧州コペルニクスの衛星製造受注」https://www.france-space.com/news/ds-1.html )となっている。
そして今回の発注は以下のようになる。(順不同)
1/ CHIME (Copernicus Hyperspectral Imaging Mission) :契約総額4億5500万ユーロ、プライムはTASフランス。
2機のハイパースペクトラル・イメージャ衛星の設計と開発契約で、この2機はセンチネル2の陸地マッピングなどを補完する。OHB社とレオナルド社が搭載機器提供で協力する。ヴェガCかアリアン62で打上げ可能な仕様の衛星。初期資金振込額は9000万ユーロ。
2/CIMR (Copernicus Imaging Microwavve Radiometer) :契約総額4億9500万ユーロ、プライムはTASイタリア。
最高3機の衛星による海面温度、氷山分布、海面塩分などを測定する地球観測システム。OHB社イタリア、HPS社の機器提供で開発。ヴェガCかアリアン62で打上げ可能な仕様。
3/LSTM(Land Surface Temperature Monitoring):契約総額3億8000万ユーロ、プライムはエアバスDSスペイン。
陸地の表面温度を観測するミッションで、衛星1機、さらに2機のオプションあり。
ソース:TAS、エアバスDS、ESA(どれも13/11/2020)
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:N20201114-01
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。