posted: 2020/10/30
update: 2020/10/30
2020年10月29日、欧州宇宙機関(ESA)はアリアン6の初号機打上げ予定は2022年第2四半期(4〜6月)に再設定されたと発表した。これは10月28日、29日に行われたESA理事会での話し合いを受けての発表であった。
欧州側のこれまでの最新の見積もりでは初号機打上げは2021年下半期とされていたが、再び延期される形になった。
理事会ではESA、アリアン6のプライムコントラクタであるアリアングループ社、ギアナ宇宙センターを管理する仏国立宇宙研究センター(CNES)が作業の進捗と今後の重要なポイント、Covid-19がプログラムに与えた影響を分析した上で策定した今後のロードマップが参考にされた。
理事会の後の記者会見でESAのノイエンシュワンダー輸送本部長は、延期の主な要因は、Covid-19のロックダウンによって作業スピードが減速したことと、ラウンチパッドとロケットをつなぐ極低温推進剤供給アームの技術的問題だったと話している。
また、英語メディアでは例えばspacenews.com、仏語メディアではレゼコー、ユージンヌ・ヌーヴェルなど複数のメディアによると、上記本部長は、予算超過はプログラム予算の6%の2億3000万ユーロとなり、ESAはプログラム参加国に追加貢献を頼むつもりで、この追加予算問題は数ヵ月のうちクリアになると見込んでいると話したとのこと。
一方、小型ロケットのヴェガCの初号機打上げ予定は2021年6月に設定された。
2020年10月30日の朝、上記ノイエンシュワンダー輸送本部長はフランスのニュース専門番組BFM TVのビジネスコーナーのインタビューに6分ばかり出演し、この件について解説していた。
そこで同本部長は、パンデミック下の現在、サプライヤーらは厳しい状況にあるが、彼らが潰れず作業を進められ、ロケット事業のサプライチェーンを維持していくことが重要である、なぜなら欧州のロジックは、他に頼らずに衛星・宇宙機の打上げや宇宙活動が行える、いわゆる欧州の宇宙へのアクセスの自立性を第一に考えているからだと強調していた。またそのためにも欧州のミッションは欧州のロケットで行うことが大切だとも話していた。
主なソース:ESA、Les Echos、L'Usine Nouvelle(29/10/2020)、BFM TV(30/10/2020)
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:N20201030-01
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。