posted: 2020/10/27
update: 2020/10/27
2020年10月26日、DLR(ドイツ航空宇宙センター)はSOFIA(成層圏赤外線天文台)のFORCAST機器(Faint Object InfraRed CAmera for the SOFIA Telescope)が月の南半球にあるクラヴィス・クレーターの、常に日陰になっている場所以外から水分子を検出したと発表した。
観測結果は同日(2020年10月26日)のネイチャー・アストロノミー誌に掲載されているとのこと。
SOFIAはDLRとNASAが共同で運用している、高度12kmを超える位置から天文観測を行なっているている航空機である。
* SOFIAについてはフラスペ ニュース 2020/08/24付「航空機天文台SOFIAの観測結果の論文、ネイチャー・アストロノミー誌に」https://www.france-space.com/news/sofia.html で紹介しています。
今後もSOFIAは月の水分の観測を続けていく予定で、科学者らはその観測結果が、月の水がどこから来たか、どのように溜まっているか、どのように表面に出てくるかなどのより深い理解に役立つだろうと期待している。
また、月を焦点に当てている欧州宇宙機関(ESA)の宇宙資源戦略(2019年5月)では、水分のような宇宙資源が持続的な宇宙探査を可能にするかという問題の探求も目的の1つとして挙げている。
DLRのSOFIA科学プロジェクト担当者は、月は依然として地球上の砂漠よりも乾燥しているが、SOFIAが見つけた水分量は将来の有人宇宙ミッションにとって重要であると言えることになるかもしれない、と話している。
ソース:DLR(26/10/2020)、ESA(23/05/2019)
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:N20201027-02
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。