posted: 2020/10/05
update: 2020/10/05
2020年10月5日、仏国立宇宙研究センター(CNES)のルガル総裁は、STSフォーラム2020 第17回年次総会3日目の「科学技術における協力と協働」のセッションにスピーカーとして参加した。
STSフォーラム(科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム:Science and Technology in Society Forum)は世界各国から科学者、首脳を含めた政府関係者、経営者、ジャーナリストらが参加して科学技術と人類の未来に関して話し合う国際会議で、日本のNPO法人STSフォーラムが主催している。
講演の中でルガル総裁は国内外の協力の重要性を強調した。また同総裁は宇宙機関の間の国際協力は大きく2つの課題を有していると話した。
1つは気候変動問題で、気候変動対策のために宇宙は重要なツールとなっているとし、宇宙ミッションや衛星データの利用で世界中の宇宙機関が協力していくことが必須である点を挙げた。またこの点で2019年にスタートした宇宙気候観測機関(SCO)は世界の27の宇宙機関や国際組織のインフラや衛星データを用いて協力しており、政策決定者らが気候変動問題に対する適切なソリューションを施せるよう貢献するものであると話した。
もう1つは宇宙探査、特に太陽系探査と生命の起源の研究に関する協力が挙げられた。これら探査はこれまでに非常に多くの発見をもたらしているが、規模が大きいため単独では難しい場合も多々あり、国際協力によってプログラム実現が可能になると話した。
一方、ルガル総裁は国内レベルの官民協力にも言及し、CNESの産業促進のための制度・施策への努力について触れた。
ルガルCNES総裁が話をした「科学技術における協力と協働」セッションではJAXAの山川理事長もスピーカーとして参加している。また10月3日のオープニング・セッションでは安倍晋三前首相もSTSフォーラム名誉議長としてスピーチをした。続いて菅首相も日本の首相としてスピーチしている。
ソース:CNES(05/10/2020)、STSフォーラムのウェブサイト、日本政府内閣府のNPO法人のSTSフォーラムのページ
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:N202010805-01
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。