posted: 2020/10/15
update: 2020/10/15
2020年10月14日、仏国立宇宙研究センター(CNES)は、新しく策定した持続可能な開発のためのCNES戦略について紹介している。概要は以下のようになっている。
これは国連の持続可能な開発のためのアジェンダ2030に挙げられている17の目標(SDGs)の達成と、そのためにフランス政府が設定したルートマップにある6つの誓約を鑑み、公的機関であり1法人でもあるCNESが自分らは具体的にどのような行動をしたら良いかを考えて策定されたCNES自身の「企業の社会的責任(CSR)」戦略である。
この戦略はCNESの「企業の持続可能な開発目標(SDGs)プロジェクト」の枠組みで策定され、その中で5つの柱と、具体的な評価基準を持つ行動目標合計57件が設定された。
5つの柱
1/ 雇用者としての責任
女性の科学分野のキャリアの価値の向上として2023年には科学・技術職の採用において女性の割合を40%以上にすることや、従業員の連帯を奨励することなど。
2/ 宇宙の保護と持続性を促進
CNESの事業と直接重なる部分の柱であり、宇宙デブリの制限などは既に取り組みが行われている。
3/ 宇宙分野がもたらすもので、共有できる価値を創生
競争力強化や持続的成長、フランスの宇宙産業の経済システムでの雇用を促進する、失業者の就職を容易にする条文を契約書に明記するなど。
4/ 人間が環境に与える影響を減らす
この柱では大変挑戦的になっている。例えば2023年には都市部の建物で消費される電気の90%を再生可能にする、2030年には仕事に関する移動の際のCO2排出量を25%減らす、など。
5/ 国土の回復を導く
宇宙ミッションやアプリケーションによって気候変動対策や資源マネージメントに貢献する。
これら戦略を実践していくため、CNESは推進機関を発足させたり、定期的に成果を発表するとしている。2021年にはCNESはフランスで初めてその年の「企業の社会的責任」に関する全体を網羅する報告書を発表する公施設法人となるとのこと。またSNSではハッシュタグ #LeCnesSengage で、これら行動目標の情報を見ていくことができる。
ソース:CNES(14/10/2020)
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:N20201015-01
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。