posted: 2020/08/23
update: 2020/08/23
2020年8月20日付けのフランスの技術・科学専門サイトのテクニーク・ドゥ・ランジェニウールで、仏国立宇宙研究センター(CNES)のアリアン6設計プロジェクト・マネージャのキャロル・ドゥルモー氏が同サイト側の質問に答え、解説している。
質問内容は欧州がなぜアリアン6プログラムをスタートさせたか、アリアン6の開発スピードが早かった理由、大幅なコストダウンを可能にした新技術などプログラムの全般にわたっている。
ドゥルモー氏は大幅な製造コストダウンを可能にした新技術について、まずアリアン6上段のヴィンチ・エンジンで、その一部の部品の製造に3D印刷を導入したこと、エンジンの総部品数を減らしたことを挙げている。またその他の一例として液体推進燃料のタンクの耐熱材の接合方法を噴霧式にした点に言及している。
さらに機体統合過程ではアリアン5が機体を垂直にして行われていたが、アリアン6は水平状態での統合にしたこと、仕様の面では固体ロケットブースターのP120はアリアン・ロケット・ファミリーの小型ロケットであるヴェガの改良版ヴェガCの第1段と共用する点も重要なコストダウンにつながっているとのこと。
顧客の多様な要望に応えるための柔軟性については、再着火が可能なヴィンチ・エンジンに加え、上段に付される補助パワー・ユニット(APU)についても説明があった。
ソース:Technique de l'Ingénieur(20/08/2020)
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:N20200823-01
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。