posted: 2019/05/18
update: 2019/05/18
2019年5月14日、欧州宇宙機関(ESA)はアリアングループ社およびMTエアロスペース社とアリアン6ロケット上段の技術改良のための研究プロジェクトに関する契約を結んだ。アリアングループはアリアン6のプライムコントラクタであり、MTエアロスペースはOHBグループ傘下のサプライヤである。
このプロジェクトの目的は、これまでアルミ金属で作られてきたロケット上段を、炭素複合材を用いることによってコスト削減と打上げ能力の向上を図ろうというものである。研究チームはPhoebus (Prototype of a Highly OptimisEd Black Upper Stage)と命名された新しい上段の実証機を製作し2022年には地上で燃焼試験を行う予定。そして2025年には導入に持っていきたい考えである。
このプロジェクトはESAの将来ロケット準備プログラム(FLPP)で進められているものである。またこの研究がスタートすることはアリアン6のアップグレード版アリアン6E(EはEvolution)の上段Iacrus(Innovative Carbon Ariane Upper Stage)の開発に道を開くことになるだろう。炭素繊維強化プラスチックの上段開発の今後の予算については2019年11月のESA閣僚級会議で決定されるだろう。
ソース:ESA(14/05/2019)、アリアングループ(14/05/2019)
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:N20190518-01
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。