posted: 2020/09/07
update: 2020/09/08
2020年9月3日、フランス政府はコロナウィルスの打撃を受けたフランスの経済と社会から再興するため、総額1000億ユーロを投入する「フランス・ルランス」と名付けられた経済復興策を発表した。1000億ユーロのうち400億ユーロは欧州連合(EU)からの資金供与となる。
この施策の大きな柱はエコロジー、競争力強化、連帯結束の3つ。そして宇宙分野は競争力強化の柱の中に「宇宙分野」と「軍民両用の宇宙技術への投資」の2つの項目が挙げられ資金枠が設けられている。
宇宙分野の資金投入額は3億6500万ユーロ、軍民両用の宇宙技術への投資」には1億2770万ユーロで、合計で約5億ユーロが注がれる。
宇宙分野の3億6500万ユーロが注がれるプロジェクトの例には、アリアングループ社で行われている「クリーン水素(水か再生可能エネルギーをもとに作られるもの)」の開発・製造プロジェクト、そして競争力強化に欠かせない重要な技術分野として、レーザ通信技術や光学技術に関するものが挙げられている。
この宇宙分野の3億6500万ユーロはすべてEUからの資金供与分からまかなわれる。
軍民両用の宇宙技術への投資の1億2770万ユーロの枠では、投入される例として挙げられたプロジェクトは、CASTOR通信衛星、4つの衛星で構成されるリモート・センシングシステムCO3D、ナノ衛星を用いた電磁スペクトル監視NESS、ナノ衛星を用いた宇宙監視YODAなどである。
この軍民両用の宇宙技術への投資の1億2770万ユーロは仏国立宇宙研究センター(CNES)の2021年度予算に加えられる。
ソース:仏政府(03/09/2020)、L'Usine Nouvelle(04/09/2020)
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:N°20180907-01
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。