posted: 2020/12/19
update: 2020/12/19
ヴォストチヌイからのソユーズ打上げ成功(ST29)
2020年12月18日、アリアンスペース社および同社子会社で*カザフスタンのバイコヌール射場やロシアのヴォストチヌイなどロシアや旧ソ連地域からのソユーズ・ロケットによる衛星打上げサービスを提供しているスターセム社は、OneWeb衛星群36機の打上げに成功した。フライト番号はST29。
*スターセム社にはアリアンスペースのほかアリアングループ社、ロスコスモス、サマラ宇宙センター(RKT-Progress)が出資している。
OneWeb衛星群事業はOneWeb社とエアバスDS社が合弁で進めているもので、2019年から2020年に打上げられた衛星74機に新たに36機が加わり、これで軌道上の衛星数は合計110機となった。
スターセム社は1999年以来バイコヌールでソユーズの打上げを販売・実施してきた。ヴォストチヌイ宇宙センターからの打上げは今回が初めてであった。
アリアンスペース社は2020年最後のミッションとして、ギアナ宇宙センター(CSG)からのソユーズによる打上げミッションをクリスマスから年末あたりに実現したい計画でいる。
ヴェガ不具合の調査委員会報告
2020年12月18日、アリアンスペース社は、先月11月17日に起こったヴェガロケット(フライト番号VV17)の不具合を調べる欧州宇宙機関(ESA)と合同で行った調査委員会の結果の概要を発表した。
この不具合によってスペインのSEOSAT-Ingenio衛星とフランスのTARANIS衛星の2機の軌道投入ができない結果に終わった。
その後の初見調査では、原因は第4段のAVUM段のスラスタ・ヴェクター・コントロール・システム(TVC)に何らかの不具合が生じたと見られた。そして、今回の詳細まで調べた調査委員会も同様にTVCが原因だったとしている。それは、設計上の問題ではなく、組立て過程でTVCのケーブルがあべこべに繋がれたためとのこと。
調査委員会はこのような組立がなされた原因、それがわからずに準備が進められた点、AVUMの組立時のコントロールとロケットの最終OKのコントロールのチェックポイントの相違の3点がこの結果をひき起こしたとしている。
調査委員会は、これら問題点に対処し速やかなヴェガロケットの運用再開を実現するため、問題対処のタスクフォースを発足し運用再開までのロードマップを作成するよう進言している。それには直近に予定されているフライトのために既に組立統合過程に入っている機体の最チェック、各工程での作業管理の方法の再検討などが含まれている。
進言されたタスクフォースは即座に発足した。
ソース:アリアンスペース(18/12/2020、)
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:N20201219-01
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。