posted: 2019/08/17
update: 2019/08/17
2019年8月5日、欧州宇宙機関(ESA)はエクソマーズ 2020ミッションのためのパラシュート実験を行なったが成功には至らなかった。
エクソマーズ 2020 は欧州とロシアの共同火星探査プログラムで、来年の2020年7月末〜8月上旬に打ち上げ、2021年3月に火星に到達させる計画である。
同ミッションで欧州は火星ローバ(エアバスUK製作)、ロシア側は着陸地点で科学ミッションを行うサーフェス・プラットフォームと打上げロケット(プロトン)の提供を担当する。着陸モジュールはロシアが担当するがその中には軟着陸のためのパラシュートのように欧州が提供するパーツもある形になっている。
欧州はこれまで段階的にパラシュート実験を行なってきた。しかし前回2019年5月にエスレンジ宇宙センター(スウェーデン北部:北緯68度)で行われた高度29kmからの降下試験では、4つのパラシュートは開いたものの、その後そのうちの2つが破損し成功を収めることはできなかった。それから設計の見直し・改良が続けられてきた。そして今回の8月5日の試験は直径35mの一番大きなパラシュートに焦点が絞られていた。しかし、最初の段階は正常に作動していたが、パラシュートは開く前に破損してしまった。
今後欧州は11/12月と2月の2度のパラシュート試験を計画している。2020年夏の打上げまでに時間との戦いとなっている状況である。欧州はエクソマーズ2016ミッションで着陸機スキアパレッリの着陸を成功させることができなかった。
イギリスのエアバスで製作されているローバの方はほぼ完成に近づいており、今後はトゥールーズのエアバスに運ばれ環境耐性試験が行われる予定である。
ソース:ESA(12/08/2019)、AFP、Franceinfo 他(15/08/2019)
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:N20190817-01
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。