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wrote: 2019/05/21
update: 2019/06/25
2019年5月16日、ボルドー都市圏の町サン=メダール=アン=ジャルで開催されたビッグ・バン・フェスティバルの機会にアリアングループ社のルセル新社長が話したことについてラ・トリビューン紙のボルドー地方版が同社サイトで記事にしている。同記事は、2020年はボルドー都市圏と宇宙業界にとって重要な年になるというテーマの下に構成されている。
ルセル新社長とは2019年1月より、前任者で年齢のために引退したアラン・シャルモー氏の後継者としてアリアン・ロケット・ファミリーのプライム・コントラクタであるアリアングループ社を率いている人物である。
「2020年が重要な年」という論拠の1つ目は2020年、ボルドーはアリアンの町コミュニティー(CVA)の議長国を務めることである。CVAはアリアン・プログラムを支援していくために関係する地方共同体や関連企業、団体が協力していこうと1998年に発足した組織で、ボルドー市はその設立にも参加している。毎年、例えばアリアン・ロケットの製造拠点となっているヴェルノン市(仏)やギアナ宇宙センター(CSG)を抱えるクールー市(仏領ギアナ)など参加地方共同体が議長の任を務めている。
そしてもう1つの論拠はルセル社長の話を伝えたもので、2020年には、2021年に運用開始を予定しているアリアン6の運用前試験機の打上げが行われるというである。
またルセル社長は欧州の政府系ミッションの割合の少なさのハンディキャップについて言及した。2018年、アメリカのロケット打上げの70%は政府系ミッションに関するもので、中国ではその割合は90%に上る。しかし欧州ではその割合は半数以下であるとし、打上げロケット選択についてはより強い欧州志向が必要だと話した。
同社長は2020年の後の重要プロジェクトとして、低コストで再利用可能なロケットのテミス(Themis)プログラムを挙げていた。これは開発中の新エンジン、プロメテウス(Prometheus)をベースにするもので、最近(2019年2月)、アリアングループと仏国立宇宙研究センター(CNES)との間で、アリアン・プログラムの将来的ロケット実現を目指すアリアン・ワークスの結成時にテミスにおけるプロトコル合意もなされているとのこと。
ソース:ラ・トリビューン(21/05/2019)
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:D20190521-01
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。