欧州宇宙政策
wrote: 2019/06/24
update: 2019/06/24
2019年6月20日、ASDユーロスペース協会は来たる2019年欧州宇宙機関(ESA)閣僚級会議のための提案として協会の意向をレポートにまとめたとして、そのダイジェストを発表した。レポートの題は「Towards an ambitious ministerial "Space19+" - Eurospace views, 2019」となっている。
ASDユーロスペース協会はパリに本部を置く欧州の航空宇宙防衛産業のためのNPO団体で、特に宇宙分野を専門として扱っている。ESA閣僚級会議とは、今後ESAが進めていくプログラムを加盟国の宇宙担当大臣レベルの責任者が集まり決定する会議で、そのプログラム決定の方法はざっくり言えば、各国が各プログラムにどれだけ予算拠出ができるかを表し、そのプログラムの予算に対して各国からの拠出額総額が足りればそのプログラムは採用、足りなければ(次回持ち越しも含めて)ボツ、となる形で行われる。基本的に2、3年に1度開催されており、2019年は11月最終週にスペインのセヴィリアで行われる予定である。そして今回のこの会議には「Space19+」という呼び名がつけられている。
このASDユーロスペース協会の発表では、当レポートは2018年に既に策定したものに修正を加えたものである点、
産業界側では、ESAは従来のものを引き継ぎつつも、現況で必要な課題も取り組んでいくつもりだと捉えている点が冒頭に書かれている。
そして、当レポートの具体的な提案は以下のように大きく4つの分野・テーマについて承認を希望する予算額/予算拠出額が挙げられている。(数字は単年分でなくプログラムのための複数年分)
科学・探査:60億€、アプリケーション:44億€、実現のためと支援:37億€、宇宙の安全性と保安:19億€
(より具体的な点は次の記事で掘り下げます。)
また、EUやEumetsatなどから入ってくる金額を除いた、加盟国からの拠出額の総額予算については、これまで年間41億€レベルであったものを50億€レベルに引き上げ安定させるべきだとしている。その理由はまとめると、ニュースペースの台頭などによる市場の急展開や技術革新によるアプリケーションの変化が顕著な現在、欧州が競争力、自律性を持っていくために必要だからだとしている。
次の記事「ESA閣僚級会議 Space19+に向けて:ユーロスペース協会の意向(2/項目別)」に続く。
ソース:ASD-Eurospace(20/06/2019)
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:D20190624-01
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。