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解説・特集COMMENTARY / FEATURE

特集1

フランス、欧州の宇宙分野の特徴・興味深い点(9)やめられないオートノミーへの努力、代表例2 ロケット:裏記事 前編

P190323 Ariane family.jpg前回まで、欧州のオートノミーへの努力としてロケット分野について書きました。今回はその裏記事です。

うん、ここまで書いた内容の中にも、まだ掘り下げたい点があったなと思います。例えば、こんなこと。

・だいたいニュースペースなど革新的なビジネスが席巻し始める時代に、保守的な欧州側は対応できるのかな。


例えばちょっと大陸からは離れ一線を引いた立ち位置でアメリカとも繋がりが深く、かつグラムやパンクロックも流行らせることができた気質もあるイギリスや、海外の企業も受け入れて狭い国土の国でも経済を活発にしていこうというルクセンブルグを除けば、国家の力が強く、産業側も大手が半国営企業グループのような感じの旧大陸側は、それに慣れていくのも苦労するだろうな。


・ただそんな性質は、たとえ欧州が1つの市場でトップに立つ形でなくとも、例えば新大陸側やニュースペースなり、宇宙新興国なりが地球・世界の人々にとって良くない方向に進み始めた場合に抑止力として働くかもしれない。というか、欧州はそれを使命と思っているフシもあるのだろう。


少しオブラートに包んだ言い方だったろうか。てっとり早くいえば、あちこちで傍若無人な行為があっても一応その分野で欧州がある程度の力をもつならばそれを牽制し、つまり抑止することができる、それは地球上のみんなにとっていいことで、欧州はその役を担うんだと思ってる、ってことになるかな。

・欧州ロケット・プログラムについては、再使用型ロケットの開発・運用の展望、そして事業責任を民間に移し生産場所も民間に任せたことによる欧州宇宙機関(ESA)の原則である「地理的ジャストリターン・ルール」との折り合い、など、これからも見ていきたい点がある・・・追ってフラスペ でもアップします。 

この件の裏記事の後編に続く。

文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)

No:D20190814-3