仏宇宙政策
wrote: 2019/05/07
update: 2019/05/21
2019年4月30日、フランスの経済・金融紙ラ・トリビューンはそのインターネット版に、仏下院議員ら10名が作成した今後の宇宙法に関する論述文書を掲載している。この議員らはマクロン大統領の共和国前進党(LREM)に所属しており、この文書は2019年1月に開かれたマクロン大統領も出席した仏下院国防・軍事委員会の軍事宇宙分野についての報告と議論を受けて作成されたものである。
文書ではまずニュースペース時代に入り、またアメリカの月・火星探査などの意欲が見える今日、フランスは新たな挑戦をしていかねばならず、その挑戦は宇宙政策は政府の戦略的課題として捉えられなければならないとしている。具体的には特に2008年に制定された「宇宙オペレーションに関する法」の見直しが必要である点を指摘している。
2008年の「宇宙オペレーションに関する法」はフランスでは初めて定められた国内宇宙法であり、そこには「宇宙オペレーション」、「宇宙オペレータ」、「宇宙データの直接事業者」についての規定が定められている。
そして文書は、フランスにはロケットのアリアングループ、衛星あるいは宇宙機器のエアバスとタレス・アレニア・スペース(TAS)という大手、さらに中小企業も含め大きな宇宙産業力を持っていること、産業側も学術研究界も優れた研究、技術革新力を持っていること、仏国立宇宙研究センター(CNES)と中国国家航天局(CNSA)における中国の月探査機嫦娥6号にフランスの機器を搭載することなどの中国との協力は新しい経済システムを表す歴史的にも特記に値することなどを例に挙げて論述を展開している。
最後に文書では技術革新は産業界、国、学術研究界が共同して進めていく形にしていかなければならないと提言している。
ソース:La Tribune (30/04/2019)、15/01/2019仏下院国防・軍事委員会議事録 N°21
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:D20190507-01
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。