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よもやまコラムYOMOYAMA COLUMN

フランス語では?

エンジンかモータか

01-France go dewa 1.jpgこの「フランス語では?」のカテゴリでは、フランス人やフランス語圏の人たちの間でどういう言葉が使われているかを紹介していきます。
日常生活ではそんなこと気にしなくて済むことでしょう。ただ、フランスに出張・赴任に行くことになった、国際会議でフランス語系の人の発表を聞くことになった、などの機会に、知っておくと役に立つ場面もあるかもしれません。



そんな場合、通常英語でコミュニケーションがとられます。プレゼン資料も英語で準備され、発表も英語です。けれどいったん質疑応答の時間に入ると、フランス人たちも、いつも使っている言葉がつい出てくるような時があります。そして、それを英語のつもりで話し続けてしまうこともあります。するとこちらは「え、何のことを言ってるの?」「何がOKで何が成功しなかったの?」、など混乱してしまいます。ゆるい学会、その分科会などでは、理解している聴講者が助け舟を出してくれることもありますが、マジにビジネスのミーティングだったり、厳しい場面ではその助け舟を使いたくない時もあります。


そんな場面を想像し、一方で、気楽な豆知識の提供も描きつつ、この「フランス語では?」のカテゴリを進めていきたいと思っています。

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さて、この「フランス語では?」のカテゴリの1発目。
約20年前、フランスのロケット分野の文書を日本語で訳し始めた頃、初めて「へぇ〜、そう言うんだ」とあらためてコトバの使い方の違いを実感したのが「エンジン」と「モータ」。現在、ざっくり言えばたいていの場合液体推進には「engine」 、固体では「motor」と表されている。ハイブリッドの場合はengineかな。日本語にすれば「エンジン」と「モータ」だ。例えばHIIAでは「LE-7Aエンジン」、「SRBのモータケース」などと言われる感じ。


P190315 Vulcain 1.jpgしかし、フランス語では液体推進のエンジンも「モータ」と言われる。仏語で書けば「moteur」と、ちょっとスペルが変わるが、元は同じ意味。つまりアリアン5の「ヴァルカン・エンジン」は「moteur Vulcain」と言われる。で、固体の場合も英語、日本語と変わらず「モータ」。これは、ロケット分野だけのことではない。例えば自動車でも同じ。遅刻した時の言い訳で「今朝、車のエンジンのかかりが悪くて」という時は、「今日、車のモータが・・・・」となる。


一方、フランス語にも「エンジン」という言葉はある。仕組みがあって動かす器具や機械を指す。宇宙分野では、例えば人工衛星のことを指して「engin spatial」というのが一番頻繁に使われる用法であろう。「spatial」は「宇宙の」という意味なので、つまり「宇宙機」ということである。細かくなるが、その衛星が持つスラスタなどの動力機構は仏語では「モータ」と言われている。





Photo Credit 下: ©️ArianeGroup

文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)

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