宇宙
posted: 2020/08/18
update: 2020/08/18
20世紀中頃のロケット開発黎明期、様々な動物が実験台となって宇宙に飛んでいきました。初めて地球軌道を周回したソ連のイヌのライカ(1957年飛行)や、アメリカのマーキュリー計画でマーキュリー宇宙船に乗ったチンパンジーのハム(1961年飛行)などが有名どころでしょうか。
そして、当時の宇宙開発の2大巨頭であったソ連やアメリカと同様、フランスでもロケット開発が進められ、いろいろな動物たちが宇宙に飛ばされていきます。
その数はソ連やアメリカよりもずっと少なかったけれど、その種類の面ではチャレンジをし、とりわけフランスは世界で唯一ネコを宇宙に飛ばした国だそうです。
フランスの実験の第1号はネズミのエクトールでした。エクトールは1961年、当時フランスがロケット打上げ実験場として利用していたアルジェリアのハンマギル射場からヴェロニクAGIロケットで打上げられ、弾道飛行の後無事元気に帰還したとのこと。このニュースはマスコミでも大いに取り上げられ「宇宙に行ってきたネズミ」としてエクトールは1960年代の子供達にとってもヒーロー的存在となりました。
次もまたネズミたちでした。1962年10月のカストール、数日後にポリュックスです。ふたご座の星の名前からつけられました。
そして史上初のネコの宇宙飛行を行ったのがフェリセットちゃんです。1963年10月のことでした。フェリセットは弾道飛行の後、無事に生還しました。
このように、これらはソ連のイヌのライカやアメリカのチンパンジーのハムに比べれば世界的にはマイナーな話ですが、それでもフランスもいろいろチャレンジしていたということでしょう。
参考:DANS LES COULISSES DE LA CONQUÊTE SPATIALE, Jacques Villain, Éditeur : Editions Cépaduès (06/02/2003)、他
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:Y2020018-01
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。