宇宙
posted: 2020/10/07
update: 2020/10/07
前回、前々回と飛行機乗りのローラン・ギャロスについて書きましたので、ローラン・ギャロスつながりで今回は全仏オープン・テニスの会場となっている方の話にします。
毎年5月、6月に行われている全仏オープン・テニスですが、今年は秋に延期され、今、ちょうど大会の真っ最中です。
そして欧州宇宙機関(ESA)はそのサイトで今年の大会で導入された宇宙技術を紹介しました。(2020年10月7日の記事)。宇宙技術といっても、宇宙開発のために実現した技術の地球上での利用です。
その技術とは水の再利用です。一汗かいたテニス選手らはシャワーを浴びますが、その後、その水はトイレを流す水に使われるシステムが導入されたそうです。水の再利用については現地の担当公共機関の許可もとっての導入でした。フランスでこのような形で水の再利用システムが使われるのは初めてだそうです。
この技術の起源は宇宙飛行士が長期間の宇宙滞在をする時のためESAが開発してきたもので、実用はそんなに新しくありません。イタリア・フランス共同のコンコルディア南極基地では既に15年使われています。なるほど、宇宙や南極では水の供給も我々が暮らす環境に比べ、費用もかかるし自由にならない点も多いです。
今回のシステムはその技術をみんなの暮らしで使えるように改良した会社、それを事業化する会社、イベント会社などの協力があって導入され、来年、再来年の全仏オープンにも使われるとのことです。
うん、こんなものが自宅やその他あちこちにあったら、と想像しましたが、今のところ装置は少し大がかりで、また費用もかかりそうです。安くてコンパクトになったらすごくいいなと思いました。
ここは「よもやまコラム」で、なるべく気楽に読める話にしたかったので、今回ESAの開発プロジェクトや開発会社、事業化会社、システムの技術面の詳細は割愛させていただきます。
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:Y20201007-01
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。