宇宙
posted: 2019/08/06
update: 2019/08/12
久しぶりによもやまコラムでカテゴリ「宇宙」の話。けれどその話というのは遥か彼方の宇宙でなく太古の昔のこの地球についてです。
欧州は仏領ギアナ、クールーの町のギアナ宇宙センター(CSG)を最主要ロケット射場として使っている。そして今、CSGは来たるアリアン6ロケットのための打上げ施設ELA-4の建設の最終段階にある。この新しい打上げ施設の建設は2015年から始まった。2014年末にアリアン6プログラムが正式にスタートしたためである。それから打上げ施設建設のために土地を掘って造成したりあれこれと・・・・。
そうしたら! 掘った土の中からたくさんの太古の貝殻が出てきたとのこと。貝殻だけでなくカニのハサミやウニのトゲ、魚の背骨やサメの歯、ワニの歯などわんさか。
「おぉ、なんと! 大昔にこのような生物多様性が見られたのか、これは考古学上、超貴重だぞ」と判断した専門家らは、ギアナ大学の先生をリーダーとして掘り出した土壌を調べ始めたそうだ。
そして今年(2019年)4月に、CSGを管理する仏国立宇宙研究センター(CNES)や土木関連公共機関、アマゾン生物多様性研究センターなどが集まり大きな調査分析作業が行われた。初見分析ではそれらはおよそ13万年前のもので、未だ南アメリカには人類が住んでいなかった頃らしいとのこと。
13万年前って・・・そう言われてもわからないので歴史資料集を見てみたら、うん、20万年前のところにクロマニヨン人とか周口店上洞人と書いてあった。どうやら大陸側では人の祖先が住んでいた形跡が発見されてはいるが、南米にはきていなかった時代らしい。
現在発掘されたサンプルはX線やら様々な方法で詳しい分析が進められているそうだ。一方ではロケット打上げのための現代の最新技術を駆使した打上げ設備の建設が進む中、一方では太古の自然界の様子を探る作業が行われている。なんとも対照的な研究ジャンルの話だ。世の中いろいろありますね。
ソース:CNES(12/06/2019)
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:Y20190806-01
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。